マルチコプターの正しい飛行制限空域


FAA はアマチュア模型飛行機(マルチコプター等含む)の規制に関するパブリックコメントの期限を60日間延長しました。
 
空港から5マイル≒8km以内の飛行の場合に高度を問わず空港当局の許可が必要という規制が問題となっているそうです。反対者は、数メートルの高度を飛ぶだけでも許可が必要というのは行き過ぎで恣意的な処罰を受ける可能性があると主張しているようです。
 
言われてみれば行き過ぎの感があります。しかし調整レベルの話なので、あまり関心はありません。むしろ FAA の「アマチュア模型飛行機は目視範囲しか飛行できない」という規制についてあまり問題になっていないことを重要視します。このメインの規制は予定どおり実施されるでしょう。
 
ところで上記に関連して日本のマルチコプターの飛行制限空域について誤った情報が巷にあふれているので、正確な飛行制限空域を明記します。
 
1. 空港から半径約9kmの範囲内で150m以上の高度を飛行する場合等は国土交通大臣の許可が必要です(事実上禁止)。

2. 1 以外の航空路内で150m以上、航空路外では250m以上の高度を飛行する場合は国土交通大臣への通報が必要です。

3. 1 以外の航空路内150m未満、航空路外250m未満の高度を飛行する場合は規制を受けません。しかし航空機(実機)は原則として地上(水面)から150m上の高度を飛べるので衝突等の注意が必要です。

 
1 について、空港から半径約9kmの範囲内では高度を問わず許可が必要(事実上禁止)という情報があふれていますが、間違いです。150m以上の高度を飛行する場合に限って許可が必要(事実上禁止)なのです。

正確には、航空交通管制圏(または航空交通情報圏)内の、①地表(または水面)から150m以上の高さの空域、または②進入表面、転移表面、水平表面、延長進入表面、円錐表面、外側水平表面の上空の空域を飛ぶ場合に 1 の許可が必要です。なお半径約9kmというのは航空交通管制圏の半径が空港から通常約9kmだからです。
 
2 を正確にいうと、航空交通管制圏(航空交通情報圏)外の①進入表面、転移表面、水平表面、延長進入表面、円錐表面、外側水平表面の上空の空域、②航空路内の地表(水面)から150m以上の高さの空域、または③航空路外の地表(水面)から250m以上の高さの空域を飛ぶ場合に 2 の通報が必要です。
 
3 を正確にいうと、航空交通管制圏(航空交通情報圏)外の進入表面、転移表面、水平表面、延長進入表面、円錐表面、外側水平表面の上空の空域外であることを前提として、①航空路内の地表(水面)から150m未満の高さの空域、または③航空路外の地表(水面)から250m未満の高さの空域を飛ぶ場合は規制を受けません。

しかし航空機は原則として地上(水面)から150m以上の高度を飛べます。さらに航空機は人(又は家屋)のない地域及び広い水面では、地上(又は水上)の人(又は物件)から150m以上の距離を保つことのできる高度で飛んでもよいのです(50m上空なども可)。したがって私たちは航空機との衝突の危険を考慮してフライトを行うべきかと思います。
 
航空法施行規則(最低安全高度)

第174条 航空法第81条の規定による航空機の最低安全高度は、次のとおりとする。
1 有視界飛行方式により飛行する航空機にあっては、飛行中動力装置のみが停止した場合に地上(又は水上)の人(又は物件)に危険を及ぼすことなく着陸できる高度及び次の高度のうちいずれか高いもの
人(又は家屋)の密集している地域の上空にあっては、当該航空機を中心として水平距離600mの範囲内の最も高い障害物の上端から300mの高度
人(又は家屋)のない地域及び広い水面の上空にあっては、地上(又は水上)の人(又は物件)から150m以上の距離を保って飛行することのできる高度
イ及びロに規定する地域以外の地域の上空にあっては、地表面(又は水面)から150m以上の高度
2 計器飛行方式により飛行する運航にあっては、告示で定める高度(※現在該当する告示はありません)
 

上記以外にも航空法規、航空工学(飛行機、ヘリ)、航空気象、空中航法等まだまだお伝えしたい正確な飛行知識はいっぱいありますが、詳細は9月1日開講の「プロ空撮の知識対策講座」で開示していきます。
 

制限表面図
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国土交通省東京航空局HPより転載