脳ネットワークを正確にマッピングできるコンピュータアルゴリズムを開発


脳ネットワークを正確にマッピング

ワシントン州立大学の研究チームは、2017年8月、電子顕微鏡画像から脳ネットワークを正確に(=人が行うのと同精度に)マッピングできるコンピュータアルゴリズム(計算方法)を初めて開発しました。脳の回路を理解するために研究者が使う画像分析を高速化できる画期的なものです。
 

1000億戸の家をマッピングするするのと同じ

人々は人間の脳回路の理解を深めようとしてきましたが、その膨大な複雑さに圧倒されてきました。「これは地球の衛星画像使って1000億戸の家をマッピングをするのと同様である。」と”Shuiwang Ji”ワシントン州立大学准教授兼プロジェクト主任研究員は述べています。

人間の脳には約1,000億個のニューロンがあり、その回路を完全に理解するために必要なデータの量は、1000エクサバイト(=1000×百京バイト)のデータ、または現在世界中で利用可能なすべてのデータに相当します。

ちなみに2016年現在、世界最大級のデータセンターを保有するGoogleは、約10エクサバイトのデータを保有しているとの試算があります(公式には非公表)。
 

ワシントン州立大学研究チームの到達度

2013年にマサチューセッツ工科大学は、脳回路の画像解析を高速化する自動化コンピュータアルゴリズムを開発するよう研究者に要請した競技会を開催しました。

競争の一環として、コンピュータアルゴリズムは神経科学者の実際のチームによって行われた作業(=ニューロンをマッピングするために電子顕微鏡を使用して写真を撮影)と比較されます。

そしてワシントン州立大学の研究チームのコンピュータアルゴリズムは、人間(神経科学者の実際のチーム)の作業レベルと同精度に達することができた最初のものとなりました。


画像は脳スライスを示しています。左は神経科学者のチームによる脳組織の電子顕微鏡画像。右はワシントン州立大学研究チームのコンピュータによる、異なるニューロンを異なる色で表わした脳マップ。

人間の目が情報を取り込んで複数の段階で分析するように、ワシントン州立大学研究チームは画像を入力として受け取り、多階層ネットワークで処理をして決定に至る計算モデルを開発したということです。
 

道半ば

約1,000億個の脳のニューロン回路を完全に理解するためには、まだまだ多くの作業があります。コンピュータは依然として多くの間違いを犯しており、自動化されたコンピュータアルゴリズムがすぐに人の手作業にとって代わると期待するのは現実的ではないかもしれません。

しかしアルゴリズム(計算方法)の改良によって人の手作業による校正が減少することは間違いありません。
 
出典:ワシントン州立大学